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本の感想「日日是好日」(日々を積み重ねて行くことで気付いていくこと・ただここにいるだけでいい)

数日前から蝉の声が届くようになりました。季節は動いていますね。

樹木希林さんがお茶の先生を演じられたことでも話題になった「日日是好日」の原作をようやく読みました。時代が変わり、身の回りのツール(道具)が変わって行っても、生活や常識がちょっとづつ変わって行っても、人の心の空模様や悩みは今とあまり大きな違いはなく、春夏秋冬と繰り返し迎え、主人公の典子の視点から積み重ねられて行く体験と気づき、お茶の先生の在り方(振る舞い、接し方)、読み終えた後に残る静かで穏やかで温かくなる余韻と、自分自身、年齢を重ねて来たことで得た実感とが重なるような一冊でした。

その時同時に読み進めていた吉本ばななさんのエッセイ「すべての始まり」の中の一節に全く同感。

「大勢がいいというものにはなにか納得できるものがある。そしてその『大衆』『大勢』というものは思ったよりもずっと知的で正確なものである。それは確かなことだと思っています。」

吉本ばなな『すべての始まり』(幻冬舎文庫)p162

確かに、大勢がいいというものは「観たり」「読んだり」「行ってみたり」、体験・経験してみる価値があると思いました。

「日日是好日」は著者の森下典子さんの自伝エッセイ。女性として、社会で通って行く道を、親の娘を思う氣持ち、本人が「取り分けズバ抜けて才能なんて無いような?」と思いながら、後輩が出来、周りの人と比べて「自信がない、自信が持てない」と感じていたり、長女あるあるでもあると思うのですが「お利口さんに、続けることは出来るけれど、『氣がつくこと』『氣遣い』『氣を利かせる』なんて出来ないような、『咄嗟の判断・臨機応変』や『融通を利かせる』のが苦手」で、私って何も出来ない」と思うようなことやこんなに長く続けているのに完璧に答えられない、出来ないと思うこと語り手の典子のその悶々さが自分の心の内と重なる。

でもそんな中で、お茶の先生の室礼やおもてなしと言うのでしょうか、それに触れて、ある日ふと「ただここにいるだけでいいんじゃないか」と典子は思う。この場面は「ほっ」とため息が出るような落ち着き、今まで悶々と感じていた、抱えていた重さが「ふっ」と軽くなる瞬間だった。典子の体験、経験の中で、自分の抱えていたものも擬似体験と言うのでしょうか、重ねて解放できる。本って、エッセイって、そんな役割もしてくれるのかも。

茶道、花道、書道、香道、武道、日本の習い事には『道』がついているのは「人生を歩む『道』」と重なるから、と習い事の先生がお話しされたことが私の心にも残っている。

印象に残ったことば・典子の氣づきをここに引用と言う形で残したいと思います。

この世には学校で習ったのとはまったく別の「勉強」がある。あれから二十年が過ぎ今は思う。それは教えられた答えを出すことでも、優劣を競争することでもなく、自分で一つ一つ気付きながら答えをつかみとることだ。自分の方法で、あるがままの「学び」とはそうやって、自分を育てることなのだ。自分の成長の道を作ることだ。気づくこと。一生涯、自分の成長に気づき続けること。

森下典子『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(新潮文庫)
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日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
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すべての始まり どくだみちゃんとふしばな1 (幻冬舎文庫)

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