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プラド美術館展 国立西洋美術館にて

東京、上野にある国立西洋美術館にて、今月27日(日)まで、

プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光

が開かれています。

(国立西洋美術館の建物は世界遺産に登録されています)

プラド美術館は、スペインの首都マドリードにあり、スペイン王室の収集品を主に所蔵している世界屈指の美の殿堂。

フェリペ4世から高い評価を受け厚遇されていた宮廷画家ベラスケスやベラスケスと同郷出身のムリーリョやスルバラン、17世紀ヨーロッパを代表する「王の画家にして画家の王」と呼ばれるルーベンス、盛期ルネサンスヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ、風景画の巨匠クロード・ロラン、エル・グレコの作品も。

ベラスケスは24歳のとき、自分の作品を王宮に売り込む。

この時の王がフェリペ4世。ベラスケスより6つ年下。即位したばかりの王は『質素倹約』を目指す政治の改革に意欲をたぎらせていた。

(豆知識:フェリペ3世の時代には伊達政宗の命で支倉常長がメキシコ経由スペインを訪れています。メキシコから5ヶ月をかけて、太平洋と大西洋2つの海を越えてヨーロッパまで行った初めての日本人は支倉常長一行でした。スペインではマドリード、セビリアと名だたる大都市を歴訪。常長が日本に持ち帰ったものの多くは国宝に指定されているが、ほとんどはキリスト教にまつわるものばかり。というのも、当時のスペインという国は貿易とキリスト教の布教をセットで考えている国で、キリスト教徒になっていた方がより外交交渉も進展するのではないかという思惑や戦略もあり、常長はキリスト教の洗礼を受けます。常長は自らの洗礼をより効果的にするため、洗礼の場にスペイン国王フェリペ3世に臨席を求め、王から ドン・フィリッポ・フランシスコという洗礼名ももらっている。日本を出て1年3か月後の1615年2月17日のことです。)

 

ベラスケスが描いたこの王フェリペ4世の肖像画は、これまでの王族の肖像画と違い、控えめに閉じられた足で品位を表し、飾り気のない黒めの衣装。フェリペ4世はその中に自分の目指す新しい政治に繋がる表現を見いだしたのだと、プラド美術館 スペイン絵画部長のハビエル・ポルトゥス氏は語る。

今回、ベラスケスの作品が一挙に7点来日するのは珍しいとのこと。

ベラスケスはこのフェリペ4世の下、新しい技法を模索していた。

19世紀のフランスの画家、印象派のクロード・モネやルノワールたちからも慕われて「印象派の父」と呼ばれたエドヴァール・マネもベラスケスの影響を受けている。

ベラスケスの《パブロ・デ・バリャドリード》という肖像画の背景の部分、床と壁の境目が無いところなどの影響を受け《笛を吹く少年》にその手法を取り入れている。そして、ベラスケスのことを「画家の中の画家」と呼んでいる。

キュービズムのパブロ・ピカソも今回は来日していない《ラス・メニーナス》の影響を受けている。この作品も、構図など新しい取り組みをした斬新な作品。描き手と描かれる人、そしてそれを見る人。その三者を一枚の絵の中に描き込むことは絵画史上例のない試みだった。

また、パンフレットにも大きく掲載されていて、転落しグッズにも取り上げられている《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》。次の時代を担う待望の王位継承者の姿は、それまでの『騎馬像は横から描くのが常識』だったのを斜め前からの斬新な構図に、背景は実在するマドリード郊外の山々が描かれ、これは『新しい国王の時代になっても国が繁栄し、長く続いて欲しい』というフェリペ4世の願いを汲んだメッセージがこめられている。

ここで、上智大学教授 松原典子氏の「17世紀スペインの美術理論と画家の社会的地位」でのお話しを。

その時代のスペインの主な美術(絵画)理論書のキーワードは、”noble”(高貴な)、”nobilissimo”(いとも高貴な)、”nobleza”(高貴さ)、”grandeza”(偉大さ)、”liberal”(自由人にふさわしい。ここで言う自由人とは、奴隷ではない自由人)、”ingenuo”(高貴な、無垢な)、等々。

例えば、その影響が聖家族をテーマにした宗教画。バルトロメ・エステバン・ムリーニョの《小鳥のいる聖家族》(1650年頃)では、養父のヨセフは壮年の姿で、積極的に子どもと関わっている構図になっている。↓

ミュージアムショップで購入できるポストカードより。

ベラスケスの作品は《東方三博士の礼拝》1619年。

20歳で描いた作品。

イエスの誕生を東方の三博士が祝う新訳聖書の一場面。

実はベラスケスの身近な人々をモデルに描いている。

左端の横顔の老人はベラスケスの絵の師匠フランシスコ・パチェーコ(この方、『絵画芸術』という美術理論書も書いている)、聖母マリアは師匠パチェーコの娘であり、ベラスケスの妻、イエスは生まれたばかりの娘、膝間付き誕生を祝う三博士の一人には自分自身。

こうすることで、作品の人物の個性や存在感が増すという。

当時、スペインでは高貴さとは、七自由学芸(artes liberales)と言われ、文法、修辞学、弁証法の三学と算術、音楽、幾何学、天文学の四科のことで、それは、お金を目的としないもので、美術や画家、彫刻はそこには属せず、お金を稼ぐことを目的としている職人で、手工芸(artes mecanicas)として区別されていた。

そして、画家たちは、絵画も自由学芸だと主張していた頃。

イタリアはスペインより進んでいて、スペインの画家たちはイタリアに憧れ、また、イタリアの影響を受けている。

ベラスケスもまた当時ヨーロッパ各地の王族たちの間で人気が高く、外交官としても活躍していた画家のルーベンスがフェリペ4世に招かれ、スペインに一年間滞在し交流を深める。彼からイタリアに行くことをすすめられ、イタリアに行き、帰ってからの作品《マルス》。

これは、ルーベンスの作品にも出てくる軍神マルスとは違った表現をしている。

画家たちの影響を見ることができるのも美術展の楽しさかもしれない。

静物画(ボデゴン)の中には、ブドウの艶やかさや水滴なども細かく描かれていて、目を見張ります。

ヤン・ブリューゲル(父)の作品も展示されていました。

展覧会公式プレゼンター&音声ガイドは及川光博さん。

そして、そんなベラスケスが影響を受けたルーベンスも、今年の秋から、同じ国立西洋美術館で「ルーベンス展ーバロックの誕生ー」を観ることができる。(2018.10.16(火)ー2019.1.20(日))

【参考】NHKEテレ 日曜美術館

 

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