24Apr

NHK連続テレビ小説「あんぱん」。やなせたかしさんとその妻暢さんをモデルに描かれたドラマです。水木しげるさんご夫妻のお話「ゲゲゲの女房」は観ていなかったことを公開したので、今回は初めて朝ドラを欠かさず観ています。
時代は変わっても子どもたちが大好きな「アンパンマン」。昔医療系の仕事をしていたときも、保育士になってからも、子どもたちったら「アンパンマン」が目に入ると途端に心を開いてくれるもの、本当にいつも「アンパンマン」には助けてもらった。
やなせたかしさんといえば「アンパンマン!」ですが、『詩とメルヘン』という雑誌、子どもの頃母親から買ってもらうこともあって好きだったそれは、やなせたかしさんが編集長だったのですね。そこで編集者として20代から7年ほど働いていたのがノンフィクション作家・梯 久美子さん。その梯 久美子さんが綴られたやなせさんとアンパンマンについて綴られたのが『ジュニアノンフィクション 勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語』(フレーベル館/梯 久美子 文)です。

文字も大きめで老眼でも読みやすい。
ジュニア向けということもあってルビもふられています。子どもと一緒に読書を楽しめます。
表紙の裏にも梯久美子さんのやなせ先生への言葉があります。
家族との別れや戦争、人と自分をくらべて落ち込む気持ち……。
「ぼくが生きる意味はなんだろう?」
いつも考え、自分の思いを作品にこめた、
やなせ先生のすがたをえがきます。
幼稚園の頃歌っていた中で、すぐに思い浮かぶのが『手のひらを太陽に』ですが、これもやなせさんの作詞と知りました。「『ちしお』ってなに?」と子ども心に印象に残っているのです。
心に残った言葉
「天才であるより、いい人であるほうがずっといい」
と、よくおっしゃっていました。
あとがき より
そして、アンパンマンの主題歌の歌詞も、50歳過ぎて、ほんとにそのとおりだ、と思います。
そうだ うれしいんだ 生きる よろこび
なんのために 生まれて
なにをして 生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは いやだ!
今を生きる ことで
熱い こころ 燃える
そして、自分や家族や自分の周りの人に対して、こんな姿勢が大切だよな、と思う。親に対してももっと喜ぶことを考えてあげればよかったと思ったから。
なにが君の しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!
振り返ってみると、あっという間に時間は過ぎます。
時は はやく すぎる
光る 星は 消える
この歌詞の中に、やなせさんが込めてくれたもの、忘れないでいたいと思います。
戦争を体験したやなせさんは考えます。
(ある日をさかいに、ひっくりかえってしまう正義なんて、そんなものがほんとうの正義と言えるんだろうか)
(ほんとうの正義とは、おなかがすいている人に、食べものをわけてあげることだ!)
『ジュニアノンフィクション 勇気の花がひらくとき やなせたかしとアンパンマンの物語』(フレーベル館/梯 久美子 文)
「アンパンマン」が誕生したとき、大人たちの評判は散々でひどくけなされたそうです。テレビのアニメーション化の話が出たときも最初はテレビ局のえらい人たちに「いまの子どもたちには、こういう地味なものはうけないよ。ヒーローは、かっこよく敵をやっつけないと人気が出ないからね」と反対されたことも。一方で、幼稚園の子どもたちからたくさん読まれている絵本が「アンパンマン」だったと本にあります。やなせさんにそのことが伝わってよかったと思います。
この本では、暢さんとのエピソードももちろん出てきます。暢さんの支えもあっての作品なのですね。
読みやすいようよくまとめられた1冊です。