15May

『ファミリープログラム どようびじゅつ』とは?
どこで?
上野公園・国立西洋美術館
いつ?
春(4~5月)と秋(10~11月)に各4日、午前・午後の全8回
※諸事情により変わることがあります。
参加対象
6~9歳の子どもと同伴の大人( 子どものみの参加は不可)
参加費
無料(※同伴の大人の条件によっては常設展の観覧券・500円が必要)
内容は?
子ども・ファミリー向けのプログラムで、2グループに分かれ、常設展の絵や彫刻をその時のテーマに沿って一緒に鑑賞し感じたことを共有した後、創作の時間があり、創作したものも発表し参加者で鑑賞し合う体験型プログラムです。
申込み方法
事前申込制で、国立西洋美術館公式ホームページ上で、春は3月頃、秋は9月頃に募集があり、申込フォームより申込み。申込締切は【各実施日の前日16時まで】。
2025春の「どようびじゅつ」のテーマは『はてな?びじゅつかん』
事前申込みから当日の流れ
2025春の「どようびじゅつ」の事前申込開始は3月12日(水)午後12時から。
事前に姪ママと相談して参加日時を決めていました。
申込開始日12時と同時にホームページを開き、申込みフォームから参加したい日時を選び、参加者の名前(代表者は保護者)、フリガナ、メールアドレス、確認用メールアドレス、電話番号、参加する子どもの名前とフリガナ、年齢、参加回数、参加にあたっての注意事項「確認しました」にチェックなど入力し申し込み完了。
折り返し「申込完了のお知らせ」が登録したメールアドレス届きます。
繋がりにくいなどのトラブルはありませんでした。開始20分ほどで全回満席の表示が出ていましたよ。やはり人氣のようですね。(ただ、キャンセルが出るとまた申込みの表示になるようです。申込締切は【各実施日の前日16時まで】になっているので、もしその時は満席でも諦めないで【各実施日の前日16時まで】ちょこちょこチェックしてみてもタイミングと運次第では空きが出て申し込みできるかもしれません。
〈当日の流れ〉
- 大人の皆様もサポート役としてではなく、一緒にご参加ください。
- 絵の具を使用します。汚れてもよい服装でお越しください。
とのこと。
常設展観覧券のチケットは、事前にオンラインで購入することを推奨されていたのでそうしました。
美術館の券売窓口で購入する場合は、購入に時間がかかることもあるので余裕をもって来てください、と。また、入場無料となる方も観覧券を受け取って参加するようにとのことです。
受付時間10分前に西洋美術館に到着。大きな荷物はコインロッカーにまず預けました。土曜日の午後、コインロッカー、2つくらいしか空いていなくて、セーフ。姪ママはその間お墓参りへ。
その後に、お手洗いも済ませておきます。
今回2回目の参加ですが、前回、受付の後、オンラインで購入した観覧券の参加者は、ボランティアさんと一緒に常設展の入口でピッとしてもらい、子どもの分の観覧券もそこで受け取ってから始まったので、本日はお手洗いの後、先に常設展の入口に行き「『どようびじゅつ』これから参加するものですが」と、チケットをピッとしてもらい、姪の分の観覧券も受け取って、受付へ。名前を伝えます。

私と姪は青チーム。今日、呼んでほしい名前を名前札に記入。保護者は、撮影で顔が映ってもOKかの署名をします。
姪は名前札も「どうしようかな」と迷っていました。よく姪の創作お話の中で姪は自分を違う名前で登場させます。お話によって、名前もいくつかあります。本名じゃなくその名前を書こうと迷っているのかな?と思っていたら、名前を書くペンの色を迷っていたみたい。迷った挙げ句、ユーチューバーのカラフルピーチの中で一番好きな「もふさま」の紫と、ここ数日でハマっているNHK Eテレ『アニメ 冒険✕冒険サバイバル』の「ケンジさま」(二人ともメガネで真面目なイメージが共通している)の緑を使って書いていました。ここでもボランティアさんが、「カラフルに書いたね〜」と声を掛けてくださっていました。
全員が揃ったら、ボランティアさんの自己紹介と美術館でのお約束を3つ。走らない、触らない、そして大声を出さないだったかな。
「昨年の秋も一緒でしたよね?子どもが覚えていました。」と参加者さんから声をかけられました。
【作品鑑賞】
赤チーム、青チームに分かれて絵画の鑑賞、そしてそれぞれの氣付きを発言し合います。他の参加者さんの視点など面白い発見があります。

赤チームはダフィット・テニールス(子)《聖アントニウスの誘惑》油彩、キャンバス。
私たち青チームはヨハン・ハインリヒ・フュースリ《グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ》(1783年頃)油彩、キャンバス。大型の作品です。
姪はボランティアの方に「テーマが決められたことで、意見を求められて、それに答えるのが苦手なの。自分の好きなことでだったら、色々たくさん思い浮かぶんだけど」と前置きをしながらも、「左下に赤いバラ?が描かれている」と答えていました。するとボランティアさん「そうね、型にはめられるのは苦手なのね。自由に考えたいのね」と共感の後に「どうしてバラと思ったの?」と氣付きを広げてくれます。姪「茎にトゲも描かれていたから」と。他の参加者さんの氣付きは「奥が暗くて、手前の2人が明るい」、「右側の女の人の姿勢がなんかヘン」、「動物のようなものは何だろう?」などなど。「正解はありません」としつつ、「実は、皆さんもお氣付きのように、奥の馬に乗った人と手前の二人の次元が違います。奥の人は実は亡霊です。」と。絵画では次元の違うものも描けるのですね、と改めて発見。
さて、その後は、それぞれの子どもと同伴の大人に分かれて1階11室と12室の中から「はてな?」と思う絵を20分間くらいで決めて、決まったら11室に集合。それからまた皆で分かち合いの時間。
11室で前回2024秋のどようびじゅつで鑑賞したポール・シニャック《サン=トロぺの港》の前を通るとき、姪は「あっ!前回観た!」と反応していました。覚えてくれていて嬉しい。
私はですね、この11室・12室、ほんと、ワクワクそして心が喜びます。フィンセント・ファン・ゴッホ《ばら》。西洋美術館の解説では「最晩年の作品に特徴的な、激しく、うねるような筆づかいがすでに認められます。」とありますが、《星月夜》や《ひまわり》に比べて、優しい感じがするのですが、どうでしょう。色使いが柔らかいからそう感じるのかな。モーリス・ドニ 、ピエール・ボナールといったナビ派の作品が並んでいるのも嬉しい。
姪に「この絵もこの絵もこの絵も好きなのよ〜」と説明したかったけど、とっとと12室へ行ってしまう姪。後を追いかけます。
12室の絵画も好きな作品が多いです。こちらにもピエール・ボナール、ピエール=オーギュスト・ルノワール、藤田嗣治 、ジョアン・ミロ!「また会えた♥」と思います。ヴィルヘルム・ハンマースホイ の絵画の位置もいい!眼福だ。ジャン・デュビュッフェ《美しい尾の牝牛》もユーモラスで心をくすぐられます。
そして、12室にある絵画で、やっぱり、小学生の心を掴むのはピカソですね。姪、ピカソの作品の前で「なにこれ!?ぷぷぷ〜っ!!」。パブロ・ピカソ 《女性の胸像》と《小さな丸帽子を被って座る女性 》です。「これが帽子?」と衝撃を受けている様子。「本当はね、この人はとっても絵が上手なんだよ!」と説明せずにはいられませんでした。それから、フランク・ブラングィン《松方幸次郎の肖像》の前で「この人がね、日本の人に絵を観てほしいって思って、ここの美術館の作品をたくさん集めたんだよ」と熱く語ってしまう私であった。熱く語っているうちにまた姪がいなくなり、どようびじゅつで撮影を担当しているスタッフさんが、向こうの部屋へ行かれましたよと教えて下さいました。
追いかけて11室に戻るとボランティアさんが姪の話をここでも聞いてくださっていました。ロヴィス・コリント《樫の木》の「オーク」という文字に反応した姪。姪が大好きなマイクラで出てくるそうで。ボランティアさん、姪に「絵を観て何か感じた?」とまた聞いてくださって、「この絵の時間は夜明けかな?左のオレンジ色は朝日かな?」と答える姪。「そうだね、夕日だと空全体がオレンジ色になるけど、そうなっていないから朝日かな」と氣付きに共感してくださっていました。
さて、集合時間になり、それぞれ「はてな?」と感じた作品の前で、皆にどんなところが?などを発表し合います。
一緒に参加した子どもちゃんたちが選んでいたのはパブロ・ピカソ 《小さな丸帽子を被って座る女性 》では「顔の左右の色が違う。三角や四角で表現している」、ジョアン・ミロ《絵画 Painting》を観て「鼻の穴!そしてこっちはウイルス!」との見立て。楽しい!
私たちはどの作品にするかしっかり話し合いができていなかったので、さて、どうしよう?次の作品のところへ行く合間に、姪が今一番好きと言っていたNHK Eテレ『アニメ 冒険✕冒険サバイバル』、そこで「ホワイトアウト」と出てきたのを思い出し、「サム・フランシス《ホワイト・ペインティング White Painting》にしない?『ホワイトアウト』についてそこで説明してくれる?」と提案し、承諾してくれた。皆さん「知ってる!」という方もいれば「へぇ。そんな番組もあるのね」。ただ、姪によると「ホワイトアウトは竜巻でこんなんじゃないけどね」と言う。焦った、冷や汗。「あ、そのあと黄砂?砂嵐もでてきたよね?こんな感じなのかな?」と補足し、私たちの発表はなんとか終わった。ホッ。
ここで赤チームと合流して、一緒にジャクソン・ポロック《ナンバー8, 1951 黒い流れ》を鑑賞。まず子どもたちからそれぞれに思ったことを発表。皆、元気いっぱい。「こことここに動物に見える!」という発見が多かった。姪も「左上のところが『み』に見える」と発表。ボランティアさんが「これからこの絵を『み』の絵と呼ぼうかしら」と返してくださる。それを聞いて子どもたちが次々に「『し』がある!」「『つ』も見える!」「丸と三角と四角がある!」と発見がどんどん出てくる、出てくる。それから姪は「右下にはカタカナの『レ』の反対」と発見してた。また「右下に何か書かれてる」と私に言ってきたので「これは描いた人のサインだよ」と答える。
最後に、ジャクソン・ポロックさんがこの作品をどのようにして描いていったか、その様子の写真を見ながら説明を聞きました。「絵はふつうはだいたいキャンバスに立てかけて描いていたけれど、この人は床に置いて描いていますね」と。
ここから、お手洗いに行きたい人はお手洗いタイム、そして創作する部屋に移動。ボランティアスタッフさん、他の参加者の皆さんにも氣を配りながらも、姪が好きなものとか聞いてくださっていたようで「カービィって星のカービィのことだよね?」とか聞こえてきました。
制作の部屋に入り、机につきます。全員揃ったところでボランティアスタッフさんがまずはやり方を説明し、実際にやってみせて、私たちもまずは練習からやってみます。それから、本番。時間が押していて、本番は発表の時間もあるので、制作時間は10分足りないくらいでした。白と黒のアクリル絵の具を使いました。バックになる色画用紙は好きな色を選んで。姪はここでも紫か緑か迷っていましたが、もふさまの紫を。私は、ジャクソン・ポロックと同じ感じで。
私の作品
上野で白と黒と言えば!とあの可愛い生きものを意識してみました。パンダ、どこかな?

姪の作品
練習のときとはぜんぜん違うように仕上げていました。同じテーブルの親子さんが「最近見てきたバラ園のバラ」と「ハンバーグ」をテーマにされているのを見て、姪も本番では大好きな「カラフルピーチ」に因んだものにしたかったらしいのですが、左右逆になるのと、透明のと色画用紙を重ねる時に横に広がるので、思ったとおりに行かず、「ぜんぜん思ったのと違う〜」落ち込んでいました。

作業に一所懸命になってアクリル絵の具が髪についてしまっていた姪。私も作業中で拭いてあげられていなかったのを、ここでもボランティアスタッフさん、氣がついてくれて、丁寧に拭き取ってくださっていました。その温かな心にありがたいことといったら!
〈作品に失敗はない。思ったとおりにいかないのもまた面白い。自分の作品だから大切に〉
出来上がった子どもちゃんたちから作品と一緒に写真撮影してもらっていました。姪のところにも回って来てくださったんですが、「失敗したからイヤだ!」と拒否。でもカメラマンの女性も「失敗はないのよ。思ったとおりにいかないのもまた面白いよ。自分の作品だから大切にね。」と優しく諭してくださって、姪もそれで納得したのか写真を撮ってもらいました。
最後に皆で自分の作品を発表。練習でハンバーグを作っていた子どもちゃん、本番はプリンをイメージして作っていて「デザートまで揃ったね」と声をかけられていました。ここでも、姪は「失敗したから見せるのイヤだ!」と言っていましたが、ボランティアさんや、参加者の皆さんから「失敗なんてないよ。自分の思ったとおりにいかないのも面白いのよ」と温かい声をかけてもらって、「カラフルピーチにしたかったの」と作品について語っていました。カラフルピーチを知っている人がいなくて、「帰ったらググってみますね」と言ってくださった方も。皆さん、子どもがYouTubeばかり観て困るといったことはないのかな?家庭でどんなふうに過ごしていらっしゃるのかな(^^)。
時間は終了予定時間の16時を過ぎていました。姪ママが外で待っているので、名残惜しかったけれど私たちは会場を後にしました。
9歳までなので、姪は今回が最後の参加になります。私のほうが、興味があって参加したくて姪に付き合ってもらった形でした。姪が一番やりたいことを応援したいと思っていますが、今は動画コンテンツを観たい!ゲームをやりたい!で頭いっぱいの様子で、それを「すきだから。やりたいことだから。」とずーっと観ているのをそばで見ていていいのでしょうか。悩むところです。それに子どものうちは體を思い切り動かすことが第一だと思っている。だけど、せめて「図工が好き」と言うので、家にいたら「動画見ていい?」になってしまうので外に連れ出したほうがいいのかな?と試行錯誤で、こちらのプログラムに参加申込をした次第です。
でも、姪が成長したとき、もしかしたら、行きたくなかったのに無理やり連れて行かされた、と思うのかもしれない。そうなると、なんだか押し付けてしまっているのも申し訳ない。私も絵が面白いと思えるようになったのは大人になって、何回も何回も美術展に足を運び、同じ画家の作品を色々観て学芸員さんの説明を聞いたりしてからのことだもの。
今回の「作品に失敗はない。思ったとおりにいかないのもまた面白い。自分の作品だから大切に」という体験は、これから生きていく中で、自分の努力で思った通りにいくこともあれば、そうはならないこともある。絵画や芸術作品を観たときに心を打たれるのは、そうやって試行錯誤しながら工夫しながら思ったようにいくまでに技術を磨き続けたり、思ったようにいかなくても、自分が思ったより面白いと思えるようになる姿勢が身についていくことではなかろうか。いつ何時でも思ったようにいかせたい、という思いは自分や周りをがんじがらめにして、どんどん苦しい人生になっていってしまうもの。
そして、これから先、中学校の美術とかでモネとかゴッホとかルノアールとか出てきたときに「そういえば、オバと行ったなぁ。あのとき観たなぁ」くらいは思い出してくれたら。
きっと、親や学校の先生や近しい関係の大人ではない人たちに親切にしてもらったことや、温かい声をかけてもらって見守ってもらったことは、心の中の種になって、姪が成長する過程で芽が出て花が咲き実になると信じて祈らずにはいられないオバばかの私であった。