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プーシキン美術館展ー三浦篤東京大学教授記念講演会ーモネ 草上の昼食

6月2日(土)、東京都美術館講堂での記念講演会「クロード・モネの《草上の昼食》ーその謎と魅力について」を聞きました。

講師はこの展覧会の学術協力もなさった東京大学教授の三浦篤氏。

整理券配布は13時からなので、前回4月14日の記念講演会の経験を元に、30分前の12時半には講堂前に並ぶことにして、展覧会の観覧時間を2時間と見て、10時半前に上野に到着。

この時間、既に上野公園、人多し。流れは上野動物園かな。

講演会の列に並んでいる人はそんなにいらっしゃらなかったので、特別展示室へ。

展示室内は、土曜日ということもあって、列に従い進む感じ。

人の少ない作品の方から、周りや流れを見て、色んな角度や距離から眺める。

4月のマリーナ・ロシャク プーシキン美術館長のお話しを思い出しながら回る。

ここでは、私の個人的な感想と、その後に聞いた東京大学教授の三浦篤氏のお話しを交えて、作品を紹介いたしますね。

三浦篤氏のお話しは分かりやすいように赤太字で記載しますね。

第1章 近代風景画の源流

No.1 クロード・ロラン《エウロペの略奪》

ギリシア神話を題材にしている作品。

No.3 ジャン=フランソワ(フランシスク)・ミレー《ハガルの追放が描かれた風景》

この2点は古典的な風景画。この頃は風景は、このように神話や宗教画の背景として描かれていた。風景のみというのではなく、必ず風景の中に人物が描かれている。

No.7 ニコラ・ランクエ《森のはずれの集い》

ジャン=アントワール・ワトーが描き始めた、それまでの宗教画や歴史画のよえに綿密に構成を考えて描かれたものではなく、情景を感情豊かに描かれた18世紀特有のジャンル『雅宴画(フェート・ギャラント)』

No.8 ジャック・ド・ラジュー《狩猟後の休息》

猟の後の様子が描かれ、狩猟犬、ワインなどが細やかに描かれている。

No.10とNo.11のクロード=ジョゼフ・ヴェルネの《日の出》《日没》

同じ港の景色の時刻が違う風景。

風が感じられる作品で印象に残った。

No.13 ユベール・ロベール《水に囲まれた神殿》

かれる神殿、実際はここまで廃墟ではないのだか、構成など綿密に考えられて描かれている。

ここでも、20人ほどの人物が細かく描かれていて、実際より賑やかに描かれている。

ユベール・ロベールは18世紀フランスの画家で、当時画家の憧れであったイタリアに留学。

No.15 《アルカディアの牧人たち》

アルカディアとは、古代ギリシアの理想郷の意味。

人や動物たちが描かれ、水面に映る描写も細かくてうっとり。

第2章 自然への賛美

No.19 ジュール・コワニエ/ジャック・レイモン・ブラスカサット《牛のいる風景》(コワニエが風景を担当)

とても細やかで写実的。

No.20 コンスタン・トロワイヨン《牧草地の牛》

No.19はくっきりとしていて入念に構成されているが、No.20はちょっと空気感があり、牧草地の実際の牛のいる風景に近い。

No.24 ギュスターヴ・クールベ《山の小屋》

普仏戦争の責任を取らされ、財産も取り上げられてスイスに亡命してからの作品。

私には、安全なところにいられる、ホッとした安心感のようなものが感じられた。

No.26 レオン=オーギュスタン・レルミット《刈り入れをする人》

ミレーやゴッホがレルミットの影響を受ける。モデルの女性は美しい人を描いた。

麦畑の黄金色と細やかさ。

バルビゾン派と呼ばれた自然の農村風景を描いた画家たちNo.3のミレー、No.20のトロワイヨン、No.21、No.22のジャン=バディスト=カミーユ・コローの作品を観られる。

第3章 大都市パリの風景画

No.27 ピエール=オーギュスト・ルノワール《庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰》

同じルノワールの作品でパリのオルセー美術館所蔵の《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会》も有名ですよね。

ピンクとブルーのストライプの服の女性、とちらにも描かれています。

仲間内で語らっている様子が親密そう。

モネもモデルとして描かれている。

雅宴画を再成させたような、ちょっとロココ調を意識した作品。

No.28 ルイジ・ロワール《パリ環状鉄道の煙(パリ郊外)》

とても大きな作品。当時のパリ郊外の様子がよく伝わってくる。今回人気の作品だそう。

ほとんど無名の画家。町外れを描く。

No.30 ジャン=フランソワ・ラファエリ《サン=ミシェル大通り》

パリらしくて好きな感じ。

雨上がりの夕暮れ時が細やかに描かれている。ドガに誘いを受けて印象派に出品もしたが、貧しい人を描いた作品などモネやルノワールはラファエリと合わず、ラファエリが出品した回にはモネやルノワールは出品しないということもあった。

No.31 ジャン・ベロー《芸術橋(ポン・デ・ザール)近くのセーヌ河岸、パリ》

ベローは当時は印象派の画家たちより人気があった。

No.34,35フォービズムアルベール・マルケ《パリのサン=ミシェル橋》を題材にした作品

季節を変えて描かれた作品。

第4章 パリ近郊ー身近な自然へのまなざし

当時、鉄道網が発達し、都市部の人たちがパリ郊外へと出向いて行きやすくなった。

ここで、初来日のクロード・モネの《草上の昼食》と対面。

黄色と黄緑、緑や白、自然の中にドレスのピンク、レースの質感、その対照的な題材がこの時代のフランス、パリの風景なのかな。話し声が聞こえてきそうだ。

そして、なかなか大きな作品。

モネ初期の重要作品で、バルビゾン派から印象派へ向かう転回点に位置する作品。これは、農民、農村生活ではなく、都市に住む若者たちのピクニック場面。

場所はフォンテーヌブローの森。

モデルは医学生であり画家だったフレデリック・バジールと後にモネの妻になるカミーユ。

この時、バジールにモデルをお願いしたのに、モネは足を怪我してベッドに横たわっている痛々しい姿を、バジールがモデルとして「即席の野戦病院」と題して描いている。医学生だったバジールが手作りでモネの治療具をこしらえた様子が描いている、というエピソードもある。

この「草上の昼食」という作品、服装はパリの当時の最新ファッション。食べ物のワインやローストチキン、パイ、果物や犬の存在はロココの狩猟画を意識したものでもあり、男女の愛のテーマ雅宴画も盛り込まれていて、右端の木のところにΡのような文字とハートに矢が刺さったような謎のモチーフ。このとき、ちょうど近くにルノワールも滞在していて、ピエール=オーギュスト・ルノワールのΡなのか?このハートもルノワールの恋愛を何か意味するものなのか?

レアリスムの人物群像を継承しながらも、クールベのレアリスムからマネの影響を受けて、自然光や明るい色彩と瑞々しい筆触は印象派への第一歩となる野心作。

No.40からアルフレッド・シスレーの作品。

シスレーは空を広く描く。その作品からは大気や風を感じる。詩情に溢れている。

No.41 アルフレッド・シスレー《オシュデの庭、モンジュロン》

オシュデとは、まだ印象派が世間から批判を受け、有名ではない頃から印象派を支持してくれていたコレクターだが、後に破産してしまう。これは、その破産したあと、他人の手に渡ってしまったオシュデの邸宅を遠くから描いた作品。

破産したオシュデ一家をモネは一緒に住まわせることにする。

そして、妻カミーユの死後、モネとオシュデの妻は再婚というエピソードがある。

No.43 カミーユ・ピサロ《耕された土地》

シスレーが空と風なら、ピサロは大地の画家。

他に、フォーヴィズムのアンリ・マティス、ヴラマンク、の作品やキュビズムのパブロ・ピカソの作品。

No.46 アンリ・マティス《ブーローニュの森》

ブーローニュは今はルイヴィトンの美術館で有名な場所になりました。

第5章 南へー新たな光と風景

ここでは、ポール・セザンヌが繰り返し描いたサント=ヴィクトワール山の2作品、ナビ派のピエール・ボナールフォーヴィズムのアンドレ・ドランの作品など。

特に、ポール・セザンヌのNo.53《サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め》とNo.54《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》

これは、以前アップしたマリーナ・ロシャクプーシキン美術館長の記事にも書きましたが、同じサント=ヴィクトワール山という題材なのですが、シチューキンとモロゾフ、二人のコレクターの趣味の違いが分かる作品です。

第6章 海を渡って/想像の世界

ポール・ゴーガンがタヒチに渡ってからの作品やモーリス・ドニの作品。

パンフレットにも採用されているアンリ・ルソーの《馬を襲うジャガー》

ルソーは実際に南国に行った訳ではなく、メキシコに行った人から話を聞いたり、パリの植物園で見た植物などから想像して描いている。

馬は襲われているのに、そうな様子が見えないように描かれているのは、生と死の葛藤を表しているから。

ゆっくり回ったら、2時間弱かかりました。

しかし、心は晴れやか。

画家やコレクターたちの情熱が伝わってくる展覧会です。

お土産に、パリの地図付きのクッキーを買って帰りました。

 

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