子どもの夜型は親の責任とは限らない？睡眠の大切さ。

大抵の育児書、または子育てサイトでは「夜型」では、子どもの成長に何らかの支障が出ることが見られ、「朝方」を推奨されています。「夜型」は大人であっても、「自律神経の働きを良くするには朝方が良い」、そして大抵の「成功法則」には「朝方であれ」と言われている気がしますが…。

『いのちの輝きーフルフォード博士が語る自然治癒力』

フルフォード博士とはアメリカで、半世紀にわたり何千何万の患者を治療してきた伝説のヒーラー（治癒者）。この本の中で、

朝方の人、夜型の人、それは生まれたときの時間帯によるものだと思われる。
『いのちの輝きーフルフォード博士が語る自然治癒力』

と述べられているのを見つけました。そういう理由も、もしかしたらあるのかも知れません。

あの『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるさんも眠るのがとにかく好きで、朝には弱く朝寝坊（ちなみに食べることも大好きで、どんなに遅く起きても朝飯はしっかり食べるから、学校には毎日遅刻だったそうです。水木サンのお兄様や弟さんは真面目で寝坊した時は朝飯を食べないで急いで出かける方で、そんな日には兄弟の分の朝食まで全部平らげてのんびりと学校に行くことになり、学校の授業は２時間目から受けるのがふつうだったそうです）。（『ゲゲゲの人生　わが道を行く』水木しげる／NHK出版 P17）

そんな水木さんだったので子育ての時に「子どもたちを『ムリに起こしてはいけない』というルール」を作っていたそうです（『ゲゲゲの女房　人生は……終わりよければ、すべてよし』武良布枝／実業之日本社）。

水木は、自分が子どものとき、眠たくてしょうがなかったという記憶が強かったせいか、子どもたちを「ムリに起こしてはいけない」というルールをつくっていました。眠たいときに、無理やり起こされるのが、子どものころ、本当に辛かったからだそうです。そのおかげで、うちの娘たちはふたりとも、小さいころは、くたくたとよく眠りました。
『ゲゲゲの女房　人生は……終わりよければ、すべてよし』武良布枝／実業之日本社）　P158

ただ、そのルール、水木さんの奥様の布枝さんは、こっそり、違った対応をしていたそうです。

ただ、尚子（長女）が幼稚園に入ると、九時には幼稚園に連れて行かなくてはならなくなりました。普段はちゃんと起きる尚子がたまに寝すごしていたりすると、水木に見つからないように、私がそっと起こしました。万が一見つかってしまうと、滅多に怒らない水木が、これだけは譲れないという感じで「なんで、起こすんだ！」と大声を出してしまうからです。でもそのルールは水木にだけ通用するもので、遅刻して幼稚園に行くというほうが、子どもにとってはかわいそうだと私は思いました。
『ゲゲゲの女房　人生は……終わりよければ、すべてよし』武良布枝／実業之日本社）　P158

ゆっくり寝ておけ！というのにはお父さんの愛を、こっそり起こすというところにはお母さんの愛を感じられるエピソードです。

子どもの頃は、特に睡眠が大切だと思います。出来るだけ睡眠の取れる環境にしてあげたいと思いますね。

そしてここにも、「1日10時間は寝ないとダメで周囲から『十時間も寝て怠け者だ』と思われていた」方を見つけました。ノートルダム清心女子大学名誉教授でヤスエ方程式を発見した物理学者の保江邦夫さんです。

保江邦夫さんは、幼い頃母と生き別れになり、寂しい思いをされたそうで、それは「幼い頃から母親がいなくて、話を聞いてくれる大人もいなくて、子どもながらにストレスが貯まったときに寝ることで解決していた。寝た後だと力が湧いて嫌なことでも耐えられた」ということでした。「僕は一生をかけて『神』を見つけたのかもしれない」（保江邦夫／海鳴社）の一節です。この本には保江さんの説ではないですが「睡眠が大切で、十時間が目安。昔は野菜に力があったので、睡眠八時間➕食べ物で充電できていたが、今の野菜は力不足なものが多く、睡眠で充電するほうが効率がよい。」と書かれています。

前出の水木さんも、

徹夜をするとその分、仕事ができるから、確かに効率はいいんです。だけど寝ないと身体が持たないんですよ。水木サンはどんなに仕事が忙しくても、睡眠はなるべくとるようにしていたからねぇ。「眠っている時間が長いほど長生きできる」とベビィの頃から思っとったんですよ。
penBOOKS 水木しげる大研究。妖怪・漫画とともに生きた鬼才 P81

出来るだけ、眠くなったら無理せずその場で休む、ということができたらいいですね。